新入部員紹介の日から二週間が経ち、悠たちは徐々に練習に慣れてきた。
悠の頭から7日の出来事は完全に消え去った様だ。
練習風景を覗くと悠はフリーバッティングの投手をしている。
打者を打ち取ることもあれば、打たれる事もある。さすがに変化球がスライダーだけ
というのは厳しいのか。自分のピッチングを広くするには新たな変化球も必要となってく
るだろう。
この日の練習を終え、悠は悩んでいた。思い悩んだ末悠は、茂木に相談を持ちかけた。
そう、変化球の事である。

「あの、変化球の事で相談があるんです。僕、スライダーしか無くてこれだけじゃどう
やっても打たれると思うので・・・。」
「そうか・・・。
しかし、変化球は簡単に覚えるのも簡単ではないぞ。その辺は自分でもわかっているな?」
「で、でも・・・。」
「いいか?今あせってもしょうがない。お前にはまだ、たくさんの時間がある。その中で
自分に合ったのを見つけろ。」

茂木の言うとおりである。そして、茂木の言葉は悠に突き刺さった。
この日の夜、悠はまた悩んでいた。悩みに悩んだが答は出てこなかった・・・。


翌日_______
朝早いグラウンドに悠の姿がある。どうやら自分に合った変化球を探している様だ。
カーブ、シンカー、シュート、フォーク、チェンジアップと色々試してはいるが、
今のところ見つからない。
ただ、オーバースローの悠にはカーブが適している。なのでカーブが新変化球の候補に
上がった。
が、悠はカーブに納得いっていない。当然といえば当然だろう。
とはいうもの、一刻も早く新変化球を見つけ出さなければならないため、この日の部活ではカーブを中心に投げ込んだ。
朝よりは成長したが、実戦で使えるには程遠い。

悠はこれをどの様に思ったのだろう?
こんなにもあせらなくともいいが、悠は先ばかりを見ていて目の前は見えていない。
入学した矢先から悠には不運とも思えるほど、壁が立ちはだかる。
壊したと思ったら、また別の壁が。
全てを壊すまでどのくらいの時間を要するか。

「俺はどうすればいい・・・」

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