4月7日聖陵高校入学式。
当然ながら悠の姿もここにある。校長、教頭が長々と話をする。
悠は何も聞いていない。
2時間後にようやく終わり、悠は颯爽と野球グラウンドに駆け込んだ。
今日は練習に参加する事が出来ないため、せめて練習だけでも見ようと思い、来た。
この辺から野球に対する思いがわかる。

先輩方は黙々と練習をする。
打撃練習、ノック等といった基本的な練習をやった後、レギュラー組み対控え組みとの練習試合が行われた。
練習風景は悠にどのように映ったのだろうか。

練習試合を見ている悠は一つ一つのプレーを細かく観察し少しでも吸収しようと一生懸命。
そんな悠が目に入ったのか、監督である茂木(もぎ)は悠に対して話かけた。
 
「どうだい?うちの野球部は?」
「いや、興奮しちゃって目に入ってないんです(笑)」
「ふふ、そうか。」

こんな会話が繰り返されるうちに茂木は悠に興味が湧いた。
すると、いきなり悠を控え組みとして登板させたのだ。
悠は意気揚々とマウンドに登り、戸惑いを見せる先輩達をお構いなしに投球練習を始めた。
その間に監督が悠の事を説明し、先輩達の疑問は解決。
捕手とサインを決め、試合再会。
やる気はあったが、無死2塁3塁とピンチ。迎えるバッターは2年生ながらレギュラー組
の3番に座る小野。

一球目。これが悠の記念すべ第一球目である。
初めてのボールは全力をこめたストレートと決めていた悠は、迷わずストレートを力一杯
投じた。

しかし、甘かった・・・。
ボールは一瞬にしてサクを超えた。3ランHRである。
気を取り直し、左打席に入る4番打者 神(じん)を迎える。
悠はもう一度力一杯ストレートを投じた。が、神は難なく打ち返し2塁打となった。
悠にはストレートを投げる自信がなくなり、決め球であり唯一の変化球であるスライダーを投げるしかない。
続く打者の初球、内角にストライクからボール球になるスライダー。空振りを取る。
二球目、同じくスライダー。空振りを取る。
これでカウントは2ストライク。三球勝負で行くと決意した悠は、捕手が要求した高めのストレートに
首を振り、三球連続スライダーでいった。

この選択が駄目だった・・・。目が慣れた打者に、簡単に打ち返されタイムリーヒット。
これで四失点。これ以上失点は許されない。
しかし、そうはいかず次々と失点を重ね、悠は降板。
被安打6、失点6と散々な結果。とったアウトもたったの二つ。

高校初登板は満足出来ずに終わった悠は、いきなり壁にぶつかる形となった。これが良い薬となったのか、そうでないのか。
今回の登板にめげる事がなければいいのが、中々難しい。
が、自分の投球では高校レベルには通用しないと充分わかったはず。
これで少しは変わるだろう。
壁にぶつかった悠だがこれもこれで収穫はあったろう。
翌日の新入部員紹介の場に悠の姿は、あるのか。それとも・・・。


翌日、新入部員紹介。
悠の姿は、、、、、、、あった。どうやら大丈夫のようだ。
新入部員は悠を含め、23人。うち、投手希望は五人。
この五人が悠の高校初ライバルとなりそうだ。

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